衣替えのツボ
2021年10月15日
夏が過ぎ、あっという間に衣替えの季節がきました。
天候の具合にもよるので、ズルズルと衣替えが延びて、11月に入ってから夏秋ものをまとめて衣替えという人もいると思います。
衣替えの時に利用するのがクリーニング。
外出用の一張羅を着る機会が、新型コロナの感染でグッと減ったかもしれませんが、それでも大事な服はクリーニングに出して、キレイに洗ってもらった後、収納したいものです。最近は、クリーニング店で、そのまま預かってくれるサービスをしているところもあります。
クリーニングの注意点は一つだけ
クリーニングを利用するにあたって、気を付けて欲しいのは一つだけです。
どんなに良いクリーニングサービスを使っても、帰ってきた衣類をそのままクローゼットに収納するのは避けるべきです。
カバーされているビニールを外してからクローゼットに入れて下さい。たったこれだけです。
密閉されたビニールの中は、風通しが悪く、湿気が溜まりやすくなります。
風呂のカビ対策も食品の腐敗対策も、原因は雑菌の繁殖。雑菌が繁殖するには、水と適温の空気と栄養分の3つが必要。
衣類の虫食いや保存染み対策も、原理は同じです。
真空で衣類を保管するのは難しいですし、ウールなどの天然素材は栄養分になります。
衣類保管の場合は、水分を絶つことで雑菌や虫の繁殖を防ぎます。ビニールで覆われ湿気が溜まると、水分が保たれ虫の生息にとっていい条件になります。
風通しをよくして湿度を下げると、虫食いの防止になります。
ビニールの代わりに、不織布で作られたカバーを掛けると、ホコリや色あせの防止になります。
とはいえ、ビニールは中身がパッと見えて便利。一部分だけビニールになった不織布の衣装カバーも売られています。
僕は、服の概要を書いた紙を、名刺ホルダーに入れて、ハンガーのフック部分に付けています。
色やデザイン、シーズンや用途を書いておくと、探すのも簡単。
カバーのジッパーを開けなくても、中身がわかるし、クローゼットの扉を開けたらすぐに見えるのも便利です。
防水スプレーは優れもの
衣替えの季節に、傘の手入れも一緒にしてしまいましょう。
傘は、たたむ時に毎回キレイに拭いておないと、いつの間にか折り目のところに汚れが溜まります。
そこで、オススメしたいのが防水スプレーです。
できれば、買ってすぐに防水スプレーを一振りしておくといいのですが、ワンシーズン使った後でも大丈夫です。
さっと一振りしておくだけで、撥水性もよくなるし、ゴミも付着しにくくなります。
撥水性が弱くなるから、ゴミも水と一緒に繊維に染み込んでいくわけです。
撥水性を維持しておけば、かなり長い間、キレイな状態を保てます。
ついでに加えると、購入時に防水スプレーをして欲しいのがネクタイ。
最近、ネクタイを締める機会はずいぶん減りましたが、それでも「ここぞ!」という時には締めるもの。
ところが、久しぶりにお気に入りのネクタイを着けようとすると、汚れが浮き上がっていたりします。
ネクタイは洗えます。ただし、元のようにフワッとシワのない状態に乾かすのが難しいのです。
シワを伸ばそうとするとフワッとならないし、フワッとさせようと思うとシワはキレイに伸びません。
シワ抜きで買った時のようにフワッと戻すのは、素人にはほぼ不可能だと思ってもらってイイと思います。
そこで、購入時に防水スプレーを一振りしておくと、汚れを防げ、汚れが防げるから洗濯も不要になります。アイロンも不要。
ネクタイは、身体の真ん中に位置します。
ここは食べ物が飛び付きやすい場所です。
汚れるのは仕方ない場所です。汚れること前提に、予防するのがベストでしょう。
衣替えはケースで管理
僕は、クローゼットに吊っているスーツやコート類以外は、透明の収納BOXに入れて管理しています。
ケースごとに、夏、春秋、冬と分類して収納しています。
季節が変わる度に、収納場所の前後を入れ替えるだけです。
前後収納は、ケースの入れ替えだけでできるので便利です。
衣替えは断捨離のチャンス
ケースの前後を入れ替えるタイミングは、断捨離のチャンスになります。
ここで大切なのが、これからの季節の衣類を断捨離することです。
シーズン後の断捨離は難しい
夏シーズンの終わりに夏服を処分するのは、難しいのです。
シーズン終わりということは、もう店には秋物冬物が並んでいます。
買い換えができない分、処分しにくくなり、ためらってしまいます。
そこで「来年考えたらいいわ」と保留してしまいます。
また「今年着なかった…」という、罪悪感も生まれます。
そこから「来年は着よう!」という発想になり、やはり保留に向いてしまいがちです。
「着なかった。だから処分する」という人は、もともとモノの流れの良い暮らしをしている人だと思います。
シーズン前の断捨離
逆に、シーズン前だと、「去年、着なかった」というタイミングになります。
時間が経っての判断になります。そのため「たぶん今年も着ないだろうな」と、思い切って判断できます。
しかも、これからのシーズンの場合、店にはこれからのシーズンの衣類が並んでいるわけですから、処分した分、新しい服を購入することができます。
前向きな気持ちで処分できます。
家事は未来の自分のために
「家事はあと始末」という捉え方があります。
確かに使ったものや着たもの、取り出したものの片付けの側面があります。
僕は、逆に未来への準備だと考えています。
明日の自分のために、料理するし、次に使う時のために片付けるし、次に着る時のために洗うと捉えています。
次がないのなら、捨てることも可能ですし。
明日の自分のために、未来の自分のために準備するのだと思うと、気持ちも前向きだと思います。
家事をすることで、無意識のうちに気持ちが未来に向いているのかもしれません。
メンドウだと思いながらも、日々、家事を続けるには、どこかで「未来の自分のために」という気持ちがあるからなのかもしれません。
おそらく死ぬ直前まで続くのが家事ですが、それはより良く生きようとする、家事を通して人間の根源的な欲求を実現させているのかもしれません。
クリーニングから帰ってきた衣類を大事に保管したり、傘を長持ちさせたり、衣類を適度に新陳代謝させたり。
未来の自分が気持ちよく着るため、使うために、今年の衣替えに取り組んでみましょう。
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【プロフィール】
家事ジャーナリスト 山田 亮
1967年 香川県高松市生まれ。
1998年、当時大学助手だった妻と結婚。キャリアウーマンである妻を支え、主夫をしながら佛教大学博士課程に進学。
2001年、長女が誕生。ホームページ上で綴った家事・育児記録が新聞社の目にとまり執筆活動を開始。
ロジカルな視点で「楽に家事をする」方法 を日々実践し、「楽家事ゼミ」を主宰して情報提供や家事指導を行う。
また、家族や家事の在り方を考える「家事ジャーナリスト」としても活動。
全国の自治体や企業などで男女共同参画、ワークライフバランス、子育て支援、人権啓発についての講演を行っている。
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