家事は環境によっていろいろ
2021年9月9日
家事は、時代や地域によって、ずいぶんやり方が違ってきます。
「現代の日本の家事」と限定しても、その人の生活スタイルや住居スタイルによっても、ずいぶん違ってきます。
僕は、縁あって、昭和初期に建った築100年近い古民家、平成中期に建てた一戸建て、そして令和にリノベーションされた3LDKマンションの3つの住宅を管理しています。
そして気づいたのは、この令和時代においても、それぞれの建物にあう家事のやり方があるということです。

濡れ新聞紙で窓を拭く

おばあちゃんの知恵袋的なノウハウとしてよく紹介される、濡れ新聞紙を使った窓拭き。これは古民家ではとても有効な方法です。

古民家の窓枠は、今のようなアルミではなく木製です。そこにガラスの窓がはめ込まれています。
木の枠とガラスの間にゴムなどありません。 だから、今の窓拭きのようにシャワーで水をかけて、ゴムで水を切るというようなスタイルだと、枠の溝に水が入り込んでしまいます。
100年近く経つと、ガラスの重さで木枠もすり減っています。枠の上に沿ってガラスとの隙間もできています。隙間から部屋に水が入り込むこともあります。
そんな木製窓枠時代の布は、強く拭くと糸くずがガラスに残ったりします。 乾いた後で、糸くずをまた拭き取らないといけませんし、その時にまた糸くずが残ったり…永遠に終わらない作業になります。 布ではなく新聞紙で拭くと、糸くずの無間地獄に落ちることはないでしょう。
加えて、そんな窓枠時代の新聞のインクは、石油由来のインクでした。1970年代のオイルショックを機に、大豆由来のソイインクになり、今は植物一般由来のベジタブルインクが主流になっています。
石油由来の化学洗剤が普及する以前、新聞のインクは身近な洗剤的なものだったかもしれません。それで磨けばピカピカになったというのも納得できます。
このように住宅素材、布生地、インク材料という、要素がガッチリ噛み合って、濡れ新聞紙で窓を拭くとキレイになると言われたのです。
令和リノベマンションのアルミサッシ窓を、濡れ新聞紙で磨く意味は…あまりなさそうですね。

米のとぎ汁で床掃除

これも濡れ新聞紙と似たようなものです。 結論からいうと、現在のいわゆるフローリングにおいて、ある特定の無垢の床材以外は、あまり効果が期待できそうにありません。
とはいえ、これも古民家の床材には、マッチしそうな感じです。
その上を何回人が通ったのか分からない廊下は、すでに木材自体が薄くなっているようで、磨くとますます薄くなりそうなので、とぎ汁磨きは控えていますが、光りそうな予感はします。
平成の一戸建てのフローリング材は、集合材で表面もコーティングされたものなので、米のとぎ汁成分が作用する余地も残されていません。
令和リノベマンションも同様だと思われます。

煮物は難しい

かまどで煮炊きをしていた時代、火力の安定はタイヘンな作業でした。火が弱すぎると、いつまで経っても料理ができあがらないし、強すぎると焦げてしまいます。
その場を離れて他の作業することも難しかったでしょう。煮物上手は火加減上手だったのだと思います。火が強すぎて、ふきこぼそうものなら、火を消してしまいます。
だから、差し水をして拭きこぼれを防いだのです。

今は火力の調整は、グリルのつまみでできます。
ふきこぼれそうになればつまみを弱方向に動かせば良いだけで、差し水をする必要はありません。
仮にふきこぼして火を消してしまったとしても、またスイッチを入れて点ければいいだけのことです。
今は、電機調理鍋やスロークッカーなど、煮物もほぼ自動で料理できます。味付けは、難しく感じるのなら、だし醤油を薄めて使うなど、簡単にする方法があります。
味は薄めに料理して、味が足りないようなら後から足すようにすると、塩分の取り過ぎも防げます。
煮物が簡単か?と言われると、なかなかそうも言い切れない奥の深さはありますが、とはいえ、火加減というタイヘンな作業から解放された現代において、昔ほど難しい料理でもなくなってきたと思います。 ですが、「得意料理は煮物」に今でも一定の攻撃力があるのは否定できません。

電気製品はボタンを触りすぎると壊れる

これは、僕の両親のことです。新しいラジカセ(時代ですね)を買ってもらった子どもの僕は、カタログに載っていた機能を一通り試したくて、ボタンをいじってみたり触りまくっていました。
ところが、親からは「壊れるから触らせない」と言われ、取り上げられたこともありました。触りすぎると壊れるというのは、高齢者には一定層います。

確かに、戦後(太平洋戦争後)家電が日本で普及する際に、ずいぶん粗悪な製品も出回ったと聞きます。
今の高齢者の中には、未だにその時の印象が強く残っていることも考えられます。 高度経済成長の中で給料も増えてきて、思い切って購入した電気製品が粗悪品だった。 それはそれは、ガッカリという気持ちと同時に、触りすぎると壊れるという記憶が植え付けられたのでしょう。
とはいえです。例えば、最近の炊飯器を見ても、内蔵されている機能すべてを使い切る機会はあるのか?というくらい、たくさんの料理が表示されます。
一昔前なら、炊飯器はご飯を炊くだけだったと思いますが、今や普通に売られている炊飯器ですら多機能です。
当然、ご飯以外を炊いても壊れないように作られているはずです。どんどん、触りまくって、モトをとって欲しいと思います。

参考までにいうと、多機能家電の場合、取扱説明書を最初から読んでも、なかなかその機能を使いきるところまでは行き着けません。
おすすめしたいのはカタログやネットの製品紹介ページの活用です。 イチオシの機能や、新しく加わった機能、その製品の王道的な機能などが、パッと見てわかるように作られています。 そういった機能があることを知ったうえで、その使い方を取説の目次や索引をもとに調べると、近道できます。
もちろん商品紹介動画を見るのもありです。

先人の知恵が活きる時もあれば、活用できる家事シーンがなくなっていることもあります。
環境の変化によって、以前の家事が通用しなくなっていることもあります。環境の変化にあわせた家事のアップデートもお忘れなく。

ASMITAS | 情報マガジンmitasDays | 東邦ガス
【プロフィール】
家事ジャーナリスト 山田 亮
1967年 香川県高松市生まれ。
1998年、当時大学助手だった妻と結婚。キャリアウーマンである妻を支え、主夫をしながら佛教大学博士課程に進学。 2001年、長女が誕生。ホームページ上で綴った家事・育児記録が新聞社の目にとまり執筆活動を開始。 ロジカルな視点で「楽に家事をする」方法 を日々実践し、「楽家事ゼミ」を主宰して情報提供や家事指導を行う。
また、家族や家事の在り方を考える「家事ジャーナリスト」としても活動。 全国の自治体や企業などで男女共同参画、ワークライフバランス、子育て支援、人権啓発についての講演を行っている。


ASMITAS | 情報マガジンmitasDays | 東邦ガス
関連記事
衣替えのツボ
家事時短はじめの一歩
家事は環境によっていろいろ
時短家電「三種の神器」
夏の床掃除
子どもを家事に誘う方法
夏の生ゴミ対策
家事シェア やる気になる3大ワード
家事シェア はじめの第一歩
風呂掃除を楽にしよう
片付かない!を解決する「散らかりの構造」
洗剤は適量で
乾かす時は速乾で
乾かし方がポイント
料理のマンネリを打破する
家事は楽しい生活のための手段
mitasDaysトップページ